突発性虚血心不全とは。 心不全の症状【うっ血性・急性・慢性など】と原因や治療法

虚血性心不全の原因と前兆とは?予防策はあるの?

突発性虚血心不全とは

もくじ• 主な症状 引用() 虚血性心疾患の症状 1 典型的な場合 胸痛ないし胸部の苦悶感、肩から上腕にかけての痛み、悪心・嘔吐、場合によっては下顎痛、歯痛。 高齢者では腹痛や腹部不快感などもあります。 症状が続くと全身の熱感や発汗が強くなります。 これは心臓の動きが悪くなり、それを防ぐために自律神経の交感神経が作動して闘争的な生理状態となるためです。 2 短時間(多くは1分以内)で急変し死亡する場合 仕事中、歩行中、乗車中、テレビを観ているときなどの安静時、用便中あるいはその直後、就寝中(まれに性行為中)に 突然倒れて意識消失(失神)し、反応が無い状態となります。 時として 甲高い鼾 いびき や悲鳴のようなうめきを2、3回発したり、 口から白色、時にはピンク調の泡 あわ を出すこともあります。 甲高い鼾は、心停止による脳虚血により舌がのどに落ち込むため、 終末呼吸が鼾のように聞こえるのです。 ちなみに脳出血(脳溢血)では鼾が長く続きます。 口から泡を出すのは急性左心不全による肺水腫のために起こります。 映画やドラマなどで見かけるような心臓発作のイメージでだいたい間違いないですが、呼吸までできなくなるのではなく、心停止による失神がはっきり見て分かる症状です。 この心臓発作が発生した時に、救助できる人が身近にいれば助かる可能性がありますが、 自室で就寝中だった場合や職場で一人で残業していた場合には気づかれないまま息を引き取るという状況になります。 救助(胸骨圧迫・心臓マッサージ)できる人が近くにいたとしても、発症から気づかれるまでに10秒から30秒、症状を理解して心臓マッサージをし始めるまでに50秒とかかっていると心停止から1分かかってしまう上に、救急車を呼んでいるうちに危機的状況に陥る場合もあります。 どうすれば助けられるのか 意識がある場合 即座に、迅速に行動を開始し、バイタルサインの確認(首元で脈があるか確認)して、心停止がはっきりしたら、 すぐさま心臓マッサージを開始。 同時に救急車119番して、命をつなぎましょう。 電話できる人がまわりにいない場合は、片手で心臓マッサージをするか、 119番に発信してスマートフォンのスピーカー状態で心臓マッサージをしながら通話しましょう。 意識がない場合(就寝中など) 明らかにおかしな「いびき」があったら、過信せずに脈を確認しましょう。 ぜんそくのような呼吸をしていたら早めに バイタルサインを確認し、脈がなかったら同様に、救急車119番にかけて、スピーカーで通話しながら心臓マッサージを行いましょう。 就寝中ベッドの上だと圧迫が足りない場合は、床におろして上げたほうがよいかもしれません。 圧迫が足りないと心臓マッサージの意味がありません。 同じベッドにいても、就寝中の発作は気づかない場合が多いとされています。 助けられたら奇跡です。 心停止の救命率 出典: こちらは、日本AED財団より、突然心臓死の救命率です。 最初の1分、5分の段階でどれだけ救命処置ができるかで救命率が変わります。 発症からすぐさま救助を開始しても、患者が医師の所に届くまでに約10分から15分かかります。 まさに1分、1秒の差で生き残れるか、救助できるかに差が出ます。 救命:胸骨圧迫の復習 今一度、を確認しておきましょう。 日頃の訓練や処置の確認が、あなたの大切な人を助けます。 【胸骨圧迫だけの心肺蘇生法】 心臓病センター榊原病院 緊急時には あなただけが 頼りです 突然死を防ぐには 世間でよく言われるバランスの取れた食事と運動習慣、ストレスを減らした生活を心がけるのが一番ですが、それでも発作が起こることはあります。 塩分の少ない食事を選ぶ• 栄養バランスの取れた食事をとる• 禁煙・減煙する• 禁酒または飲酒を減らす• 健康診断をちゃんと受ける• 血圧を定期的にチェック• ストレスの少ない暮らしを選ぶ• 適度なスポーツを欠かさない• できるだけ肥満を避ける 仕事においてのストレス、競争、努力のしすぎ、働きすぎ、過労、まじめすぎる、せっかち、短気な人は特に、気持ちを入れ替えて、ゆるすぎるのでは…と心配になるくらいの生活をして大丈夫です。 出典 公益財団法人 日本心臓財団 東京都 福祉保健局 東京医科大学 国際医学情報学分野 医学英語用語集 日本AED財団 総務省消防庁:平成30年版救急・救助の現況 平成29年版 消防白書 5.救急業務を取り巻く課題 日本ACLS協会ガイド.

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虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)

突発性虚血心不全とは

人間誰しも、最期は苦しむこと無く『ピンピンコロリ』で逝きたいと思っているはずです。 死の間際になって、経験したことのないような痛みを味わうなど、誰一人として望むことはないでしょう。 しかし近年、増加傾向にある突然死の主な原因となっている《虚血性心不全》は、激しい痛み・息苦しさを伴った末に心臓が止まります。 つまり死の間際に、誰もが避けたい『経験したことのない痛みと苦しさ』を味わうことになるんです。 「突然死だから予測のしようがない」と思う方も多いでしょう。 しかし意外なことに、実は、虚血性心不全には思ってもいないような予兆があるのをご存知でしょうか? この記事では『虚血性心不全とはどういった病気なのか』ということを皮切りに、健康診断では分かることのない『虚血性心不全の予兆となる意外な症状』について話しています。 『ある日、突然倒れて命を落としてしまう』といった不幸を未然に防ぐためにも、ぜひ最後まで読んで頂いて、あなたご自身は当然のこと、あなたの大切なご家族の尊い命を守って頂きたいと思います。 ページコンテンツ• 虚血性心不全とは 元プロ野球選手で、名将としても名高い野村克也さん。 その野村さんの最愛の妻である野村沙知代さんが突然死されたニュースは、みなさんの記憶にも残っていると思います。 その突然死の原因が、近年急増している『虚血性心不全』です。 虚血性心不全という病名は浸透していますが、そもそも、どういった病気なのか知らない方も多いかと思います。 虚血=血が通わなくなる• 心不全=心臓の機能が低下する 上記の2つが原因となって、死に至ってしまうのが虚血性心不全なんです。 虚血性心不全は『狭心症や心筋梗塞』の総称 一般的に知られる『狭心症や心筋梗塞』も、虚血性心不全に含まれています。 心臓に酸素や栄養を送る冠動脈 血管 が、動脈硬化によって細くなってしまい、心臓に運ばれるべき酸素や栄養が足りない状態になるのが狭心症です。 一方で、血液が完全に詰まって、血液が途絶えた状態を心筋梗塞といいます。 これらが原因となって、心臓の働きが弱ってしまうことを総称して《虚血性心不全》と呼んでいます。 心臓の筋肉が壊死する 心臓に血液が行き渡らなくなると、必要な酸素や栄養が不足してしまうことになるので、心臓の筋肉は壊死します。 動脈硬化による心筋の壊死 『』より画像を引用 筋肉が壊死すると、当然のことですが、心臓のパワーは落ちてしまいます。 心臓のパワーが落ちると全身に血液を送ることができなくなります。 この一連の流れが《虚血性心不全》なんです。 最終的には心臓が止まってしまい、死に至ることとなります。 虚血性心不全は尋常ではない痛みを伴う 冒頭でも述べているように、虚血性心不全というのは、死の間際に経験したことのないような、尋常ではない痛みと息苦しさを伴います。 そして、死に至るまでの時間は人によって様々です。 1分ほどで意識を失ってしまう人もいれば、30分以上も苦しみながら亡くなっていく方もいます。 突然死だからといってコロリと逝くことはなく、非常に苦しい病気だと言えます。 虚血性心不全は肺の機能も低下させてしまう 心臓が十分な酸素を送れなくなった場合、送り出す血液の量を増やすために、心臓は激しく鼓動します。 しかし、そもそも心臓が弱っている状態なので、いくら頑張っても血液を上手く送り出すことが出来なくなっています。 そのため、心臓の上流に血液の渋滞が起きてしまうんです。 心臓の上には肺があるので、血液の渋滞が起きると、そこに水が溜まることになります。 水が溜まることで、肺の酸素交流の働きが低下してしまい、酸素をうまく取り込めなくなり息苦しくなるんです。 虚血性心不全は、痛みと共に、こういった原因から呼吸障害も伴うことになるので、その苦しさは想像を絶するものだと言えるでしょう。 虚血性心不全は高齢者だけの病気ではない 一昔前では、虚血性心不全といえば『=高齢者の病気』と言われていました。 しかし今はもう、たとえ40歳代・50歳代でも当たり前の時代になっています。 なぜ若年化しているのかというと、食生活の乱れや社会的ストレス、運動不足といったものが主な原因と言われています。 主要死因 3大死因 による年齢別死亡者数 『 』より画像を引用 このような原因から血管の老化が進行して、動脈硬化へと繋がるんです。 動脈硬化が進行すると、心臓への血流が滞ってしまい、虚血性心不全を引き起こすことになります。 現在、糖尿病患者が年々増えているのですが、これに比例して虚血性心不全が原因での死亡者が増加している現状もあります。 虚血性心不全は健康診断では分からない 日常の一般的な生活では、心臓に負荷がかかっていません。 安静にしている状態というのは、心臓も落ち着いた状態で働いています。 そういった状態ならば、冠動脈が細くなり虚血状態になっていても自覚症状はありません。 つまり、日常生活だけであれば、虚血状態となった少ない血液の流れでも、命に関わってくるような事態にはならないんです。 ところが、これが心臓に負荷のかかる運動時となると、話はまったく違ってきます。 運動時の状態で心電図をとることはない 運動時といっても、ジョギングやウォーキングなどの時だけではなく、少し急ぎ足で動いたり階段の上り下りといった場合も含まれるのですが、こういったときは大量の血液 酸素 が必要となるんです。 そのため、虚血状態の方というのは、心臓に十分な血液を送ることが出来ないため酸素不足の状態となるので、息切れしたり胸が苦しくなったりします。 こういった状態で心電図をとれば異常が出るのですが、通常の健康診断では、そんなことはしません。 虚血状態が潜伏しているにも関わらず、健康診断で《異常なし》と見逃されてしまうことが多いのは、こういった理由があるからです。 心臓は症状が出にくい 心臓というのは、数ある臓器の中でも非常に強くて頑丈な部位です。 そのため、血管が通常の50%~60%くらいまで細くなっても、なかなか症状が出ることはなく、100%近く細くなってようやく症状が現れることが多いのです。 「ポックリ逝けるならそれでいいよ」と思う方は多いかもしれません。 しかし、虚血性心不全で亡くなる瞬間の苦しみや痛みというのは、例えられないものがあるといいます。 出来ることならば、誰もが避けたい病だと言えるでしょう。 ですが残念なことに、現段階では、虚血性心不全の発症を事前に予測することは、ほぼ不可能に近いんです。 《予兆》を知って虚血性心不全を予防しよう 心臓は強くて頑丈な臓器が故に、異常があっても見逃されやすいため、虚血性心不全の予測はまず無理と言えます。 しかし、予測は無理でも『予兆』がまったくないわけではありません。 実は、虚血性心不全には、様々な症状が予兆として関係していると言われています。 そこでここからは、虚血性心不全に関係している予兆について具体的に話していくので、ぜひご自身やご家族の症状と照らし合わせて、虚血性心不全による不幸を避けるヒントにして頂ければと思います。 慢性の心不全になると、心臓の負担を少しでも減らすため、BNP 脳性ナトリウム利尿ペプチド という、排尿を促進するホルモンが分泌されます。 こういった理由からトイレが近くなって、夜中に何度もトイレに起きてしまうことになります。 つまり、心臓に問題を抱えている人というのは、夜間頻尿である可能性が高いことになります。 スウェーデンの研究機関の調査で確認 夜間頻尿のある方は、虚血性心不全や脳梗塞などの血管疾患が発生しやすいことが、スウェーデンの研究機関で確認されています。 また、そういった血管疾患を引き起こした後の生存率が低いことも確認されています。 夜中に何度もトイレに起きてしまうという人は、心臓血管外科などを受診して、専門医の指導を受けることをお勧めします。 水分の摂り過ぎには注意 眠る前の水分の摂り過ぎには注意が必要です。 とくに高齢者の場合、唾液の量が減ってしまうので、のどが乾いてついつい水を飲みすぎる傾向があります。 しかし、出来る限り就寝前の水分摂取は控えるようにした方が良いと言えます。 『水分を摂ることで血液がサラサラになって、脳梗塞や心筋梗塞を予防出来る』ということから、就寝前に、必要以上に水分を摂る方が少なくありません。 しかしこれに関しては科学的根拠がないんです。 就寝前の水分摂取は、多くてもコップ1杯ほどで抑えておくようにして頂きたいと思います。 心臓のポンプ機能が低下すると、より多くの血液が必要となるので、体が水分を溜め込むようになります。 これが浮腫みの症状となって現れます。 この溜まった水分が、寝ることで夜間頻尿を引き起こす原因となるんです。 これは、人間の体というのが、寝るとリラックスすることに関係しています。 リラックスすることで、細胞などの組織の間に入っていた血液 水 が血管に戻ります。 戻った水分 血液 は尿として体外に排出するように働くので、夜中に何度もトイレに起きる《夜間頻尿》となるんです。 手足の浮腫みがひどい場合、まずは、就寝前に『むくみ対策』をしてみましょう。 寝る前に行う簡単な《むくみ対策》 浮腫みの対策としては、就寝前に『足上げ』を行うと効果的だと言われています。 やり方は、誰にでも出来る簡単なものなので、積極的に行うことをお勧めします。 浮腫み対策《足上げ》のポイント 就寝前に、クッションなどに両足を乗せるだけの簡単な方法です。 ポイントとしては、上の画像のように、ひざ下からふくらはぎの部分をクッションに乗せることです。 寝る前にこの姿勢をとることで、血液の循環が良くなり浮腫みを予防・改善することが出来ます。 心臓や血管のポンプ機能が改善されて、虚血性心不全を予防する効果も期待できるので、毎日の就寝前にぜひ実践して頂きたいと思います。 虚血性心不全の予兆として考えられるのは『5分くらい胸全体がギューッと締め付けられる』ような痛みです。 『胸が毎日痛い』『1週間くらい痛みが続く』といった症状の場合、虚血性心不全ではなく、別の病気の可能性が高くなります。 ただ、予兆であろうとなかろうと、これらのような痛みがある場合は、まず専門医に診てもらい、必要な治療を受けることが重要です。 最も恐ろしいのは『潜病』の状態 血管の壁のパンパンに張ったプラーク 動脈硬化病巣 が破れたときというのは、最も危険な状態となります。 このとき、破れて切れたところから内出血を起こして、血の塊ができます。 それが一気に血管を詰まらせることになるんです。 しかし、詰まるまでは血が流れているので、症状が出ない『潜病』の状態となります。 潜病の状態が、ある日いきなり破裂して虚血性心不全となり突然死の原因となるんです。 ある日突然『それまでのスピードで歩くのがしんどい』などの《運動時の異常》が見られる場合は、虚血性心不全の予兆 潜病の状態 を疑ったほうがいいと言えるでしょう。 予兆を疑う7つの症状• ベッドに入ると咳が出る• みんなと歩いていると自分だけが遅れる• 坂を上がると息切れがして苦しい• 歯や顎 あご が浮いているような感覚がある• 左肩が痛む• 手足の先が冷たい• こういった症状のある方は、とにかく専門医に診断してもらうことをお勧めします。 まとめ(虚血性心不全の予兆となる10の症状) 虚血性心不全は、高齢者だけではなく、成人であれば誰でもなる可能性があります。 20代や30代の若年層でも、動脈硬化というのは少なからずあるものなので、それをいかにして管理していくかが、虚血性心不全での突然死を防ぐために重要となるんです。 当然のことなのですが、自分自身やご家族の生活習慣を見直すことも必要だと言えます。 たとえば『内臓脂肪を減らす』『ウォーキングなどの有酸素運動を日課にする』といったことが、虚血性心不全を予防することに繋がります。 最期の最期で『苦しみながら逝く』という最悪のシナリオを避けるためにも、まずは、常日頃から《体調管理を万全にしておく》ことが、何よりも重要だと言えるでしょう。

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【医師監修】虚血性心疾患とは!?心筋梗塞と心不全は何が違うの?

突発性虚血心不全とは

虚血性心疾患による心不全の頻度は,決して低くないと思われますが,そのメカニズムについてご教示下さい。 (1)虚血性心疾患とは,急性心筋梗塞から狭心症,あるいはそこまで至らないが心筋に必要十分な酸素が供給できない状態を指すと考えられます。 心筋梗塞によって心不全を起こすことは直観的にわかりますが,それほどでない虚血性心疾患で心不全をきたすのでしょうか。 あるとすればどのようなメカニズムによるものかご教示下さい。 (2)十分な酸素がないと細胞のミトコンドリアにおけるアデノシン三リン酸(adenosine triphosphate:ATP)の産生の低下が起きて,心筋の収縮能が低下するのでしょうか。 あるいは他のメカニズムによるものでしょうか。 (3)虚血性心疾患を原因とする心不全は,心駆出率が低下する収縮性心不全が多いと考えられますが,心駆出率の低下しない拡張性心不全もみられるのでしょうか。 あるいは両方合併する場合があるのでしょうか。 (4)虚血性心疾患の状態が続くと心筋にどのような病理学的変化が起きるのでしょうか。 線維化するのでしょうか。 (5)心筋虚血と心電図ST-Tの変化は,おおむね相関しますか。 左室リモデリングとは,梗塞後の心拍出量低下を補うための非梗塞部心筋の代償性肥大・拡張を特徴とする形態変化ですが,この代償機構が破綻すると進行性の左室内腔の拡大と収縮能の低下から心不全へと移行します。 この過程において,神経体液性因子(レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系,交感神経系),炎症性サイトカイン,酸化ストレスなどの様々な刺激因子の活性化が重要に関与しており,心筋細胞の肥大や脱落,間質の線維化を引き起こします 1)。 梗塞サイズは,左室リモデリングを決定する重要な因子ですが,それほどひどくない虚血性心疾患だとしても,降圧薬や神経体液性因子抑制薬による適切な加療がなされない場合,心不全をきたすことがありえます。 (2)心筋の収縮能が低下するメカニズム 心筋が利用するエネルギー(ATP)は好気的条件下ではその95%がミトコンドリアにおける酸化的リン酸化によって生成され,脂肪酸を主たるエネルギー基質とします。 一方,心筋虚血における低酸素状態では,脂肪酸からATP産生効率の低い嫌気性解糖系へとシフトするために,ATPの産生量は減少し,長時間の虚血によってATPは完全に枯渇するため,収縮能は低下します。 さらに,解糖系代謝によって産生された乳酸は,アシドーシスを惹起し,イオンポンプの機能低下と相まって細胞内カルシウム過負荷を引き起こし,心筋細胞死へとつながります 2)。 (3)収縮性心不全と拡張性心不全 従来,冠動脈疾患に起因する心不全は,左室収縮性が低下した心不全(収縮不全)が主体であり,左室収縮性が保たれた心不全(拡張不全)は少ないと考えられてきました。 しかしながら近年では,冠動脈疾患に起因する心不全でも30~40%に拡張不全を認めるという報告もあります 3)。 実際に拡張不全の代表例である高血圧性心疾患や糖尿病性心筋症は,いずれも冠危険因子である高血圧や糖尿病から起因することや,高齢の虚血性心疾患患者では,拡張障害をきたしうる高血圧や心房細動を高率に合併することから,冠動脈疾患に起因する心不全においても収縮不全が主体か,あるいは拡張不全が主体かを明確に区別するのが難しい症例が存在します。 したがって,収縮能評価だけでなく拡張能評価を併せて行う必要があると考えられます。 炎症性サイトカインによって心筋細胞のアポトーシス(プログラム細胞死)が誘導され,同時に単球,マクロファージといった炎症細胞の浸潤が起こり,壊死心筋および細胞外マトリックスの分解・貪食を促進するとともに,血管新生や線維芽細胞・コラーゲン線維の沈着(置換型線維化)によって組織の修復および機能再生に寄与します 4)。 一方で,膠原線維に置換されるまでの脆弱な心筋は,壁応力を受けて容易に伸展し(梗塞部伸展),亜急性期の心破裂や心室瘤の原因になります。 さらに,慢性期に非梗塞部において過剰に賦活化された炎症性サイトカインは,マトリックス分解酵素(matrix metalloproteinase:MMP)の活性化を促し,その結果,コラーゲンの産生・分解のバランスが破綻します。 これは細胞外マトリックスの質的変化を引き起こし,間質の線維化促進によって左室リモデリングを助長します。 このように,梗塞後の炎症は組織修復のための精巧なプログラムではありますが,過剰な活性化は創傷治癒を遷延させ,左室リモデリングを加速させます。 (5)心筋虚血とST-Tの相関 虚血発作時の心電図におけるST-T変化は,虚血部位,虚血の経過時間,虚血の程度(貫壁性か,心内膜下限局性か)などによって影響を受け,一般的に冠動脈閉塞に伴う虚血は,貫壁性の虚血を生じSTが上昇し,ST低下は非貫壁性の心筋虚血を表します。 一方,急性冠症候群で認められる新規の左脚ブロックや純後壁梗塞,一部の左回旋枝,対角枝に起因する心筋虚血では,標準12誘導心電図でST変化が判別できない,あるいは認められないことがあります。 実際に心筋梗塞症例の中でST上昇を示す例は50%程度にすぎず,約40%はST下降,陰性T波,脚ブロックなどの非特異的な心電図異常を示し,残る10%は正常心電図を呈するとされています 5)。 したがって,心筋虚血の重症度診断では,ST変化,T波の形状やさらに進行した心筋壊死を反映する異常Q波を含め,心電図を総合的に判断することが重要であると考えられます。 【文献】 1) Kinugawa S, et al:Circ Res. 2000;87 5 :392-8. 2) Fukushima A, et al:Curr Pharm Des. 2015;21 25 :3654-64. 3) McMurray J, et al:Circulation. 2002;105 17 : 2099-106. 4) Nian M, et al:Circ Res. 2004;94 12 :1543-53. 5) Rude RE, et al:Am J Cardiol. 1983;52 8 :936-42.

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