抗菌 薬。 「抗菌薬が効かない」と言われた時の対処法【3つの視点から考えてみよう】|KusuriPro

抗菌薬マスター|AMR臨床リファレンスセンター

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PEKといえば尿路感染症の起炎菌! 特に大腸菌がメジャーですね。 大腸菌は腸管穿孔などにより腹腔内感染症の原因となることもあります。 クレブシエラは別名、肺炎桿菌。 名前のとおり肺炎の起炎菌となる場合もあります。 ESBLの有無によって抗菌薬の選択が大きく変わります。 (後から説明しますね) HMとは 以下のとおりです。 医療関連肺炎やカテーテル感染、尿路感染、手術部位感染など、さまざまな感染症の原因になります。 SとC、Eは腸内細菌科。 でも、健常な人には定着していません。 PEKと違う点ですね。 P、Aはブドウ糖非発酵菌、環境に生息しています。 特に浸潤環境を好み、病院の濡れたシンク、水道蛇口、気管チューブなどを感染経路とすることが多いです。 抗菌薬の選択を考えるときには、PAとSCEに分けて考えるとわかりやすい。 (後ほど紹介)• PCG ペニシリンG• またはABPC アンピシリン 狭域ペニシリンが第一選択です。 PCGは古典的ペニシリン。 半減期が短く1日4〜6回投与する必要があります。 でも、効果が強くて、キレも良いのが特徴です。 ABPCはアミノペニシリンと呼ばれ、PCGよりもスペクトルが拡大し、腸内細菌のPEまでカバーできる。 Kにはもともと効きません。 壊死性筋膜炎の場合にはクリンダマイシンを併用することがあります。 レンサ球菌の毒素産生を減らす目的です。 抗菌薬の選択は下記になります。 ・緑膿菌やアシネトバクターはAmpC誘導や抗菌薬の透過性低下、排出ポンプなどほかの耐性化機序も多くあるので、感受性試験の確認が必須です。 耐性度が強い場合には、第4世代セフェムやカルバペネム、ニューキノロン系、アミノグリコシド系などから、感受性のある薬剤を選択することになります。 SPACEは耐性が強い! 第一選択薬を押さえた上で、感受性試験結果をもとに抗菌薬を選択するのが基本です。 抗菌薬を選択するときのピットフォール 第一選択薬を決定するときに、陥りやすいピットフォールを紹介します。 MICが低い=第一選択ではない! 異なる抗菌薬のMIC値を比べて、第一選択薬を決めるのはダメです。 ときどき誤解している人がいます。 感受性試験のMIC値を眺めて、「一番低い抗菌薬はどれかなあ」といって、抗菌薬を選択してしまう。 MICは最小発育阻止濃度。 細菌の増殖を抑えることができる最小濃度のことです。 低い方が抗菌活性が強いといえます。 ある細菌に対して、 MIC<1と MIC<0. 25のクスリを比較して低い方を第一選択薬として選んでしまう傾向があって、誤解されている医師も少なくありません。 ・第一選択薬は細菌の種類ごとに決まっているので、あとは感受性があるのかをSIRでチェックするという流れです。 組織移行性を考慮する 組織移行性を考慮して選択することが大切です。 感受性があって臨床効果も期待できる抗菌薬であっても、組織に到達できないと意味がありません。 炎症部位に届かないと効果自体が得られないのです。 たとえば、黄色ブドウ球菌であれば、通常CEZが第一選択になります。 蜂窩織炎や手術部位感染では最適な治療薬といえますね。 髄膜炎の場合はどうでしょうか? CEZは第一選択薬としてふさわしくありません。 第一世代、第二世代セファロスポリンは髄液への移行性が悪いからです。 このケースでは、髄膜移行に優れた第3世代セファロスポリンが第1選択になります。 髄膜炎では移行性を考慮して抗菌薬の選択することが不可欠なのです。 前立腺も移行性を考慮する! たとえば、尿路感染症で起炎菌が大腸菌であれば、普通に考えてABPCやCEZが第一選択になります。 でも、細菌性前立腺の場合はどうか? 前立腺は抗菌薬が移行しにくい組織です。 たとえば、内服薬で治療する場合には、吸収が良くて組織移行の良い脂溶性が高い薬剤が選択されます。 ST合剤やニューキノロン系薬などですね。 ・細菌の種類ごとに第一選択薬が決まっています。 でも、感染組織まで届かないと期待する効果が得られません。 抗菌薬の移行性まで考えて提案することが大切なのです。 まとめ 最後にまとめておきますね。 『細菌ごとに対応する第一選択の抗菌薬をマスターする』 ポイントは以下のとおりです。 スペクトルが最も狭く臨床効果が期待できる抗菌薬が第一選択薬! 感受性SIRをチェック!•

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アミノグリコシド系抗菌薬の作用機序とポイント:抗菌薬の基礎3

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抗生物質と抗菌薬の違い(選択毒性とは) ・抗生物質と抗菌薬 感染症の治療薬として 抗生物質と 抗菌薬という言葉があります。 この二つは似ているようで違います。 抗生物質とは、病原微生物を殺す作用をもつ薬の中でも「 微生物が作った化学物質」を指します。 世界初の抗生物質であるペニシリンは青カビから発見されましたが、青カビは微生物の一つです。 カビを厳密に言うと真菌であり、菌の一種となります。 微生物であるカビが作り出した病原微生物を殺す化学物質であるため、ペニシリンは抗生物質となります。 ただし、技術の進歩によって人間の手によっても病原微生物に対抗するための化学物質を創出することができるようになりました。 完全なる人工合成によって作られた病原微生物に対抗する化学物質であるため、これらの物質を抗生物質の定義である「微生物によって作られた化学物質」に当てはめることはできません。 そこで、抗菌薬と呼ばれる言葉が登場します。 現在では抗生物質や人工合成された化学物質を全て含めて、抗菌薬と表現されます。 そのため、イメージとしては、抗菌薬という大きな枠の中に抗生物質が含まれるようになります。 ・細菌の構造と選択毒性 筋弛緩剤は筋肉の緊張を緩めることで痙攣や麻痺を抑制します。 しかし、その使い方を間違えれば呼吸不全などを引き起こすこともあります。 ただし、これは筋肉が存在する動物だからこそ筋弛緩剤が薬にもなり、毒にもなります。 もしこれが筋肉を持たない植物であれば、筋弛緩剤を投与したところで影響がほとんどありません。 これは、「動物には筋肉があるが、植物には筋肉がない」という構造上の違いによって起こったものです。 このように、 構造上の違いがあるために「特定の生物にのみ毒性を発揮すること」を 選択毒性と呼びます。 この選択毒性の考えは抗菌薬において重要となります。 抗菌薬の作用を知るためには、細菌などそれぞれの構造を理解する必要があります。 もっと言えば、「私達の体を構成している細胞」と「細菌の構造」の違いを理解することが大切です。 なぜなら、これを理解することできれば、「副作用をできるだけ回避して細菌を選択的に殺すことのできる抗菌薬の創出」が可能となるためです。 構造上の違いを利用する選択毒性によって、ヒトには作用しないが細菌に対しては毒性を発揮させるようにします。 右に抗菌薬を考える上で重要となる細菌の構造を記します。 ・細胞壁 細胞の周りを丈夫に固めるため、細菌には 細胞壁と呼ばれる壁が存在しています。 この壁があることによって、細菌は形を保つことができます。 もしこの壁がなくなってしまうと、細菌は形を保つことができなくなって溶けてしまいます。 ・リボソーム タンパク質を合成するための器官を リボソームと言います。 私たちの体を構成している成分の中で最も多いものは水です。 そして、その次に多い成分がタンパク質です。 皮膚や髪の毛はタンパク質で構成されており、肺や肝臓などの臓器もタンパク質です。 そのため、タンパク質の合成は生命維持に必要不可欠であることが分かります。 細菌においてもタンパク質は細菌そのものを形作ったり、生命維持に関与したりと重要な役割を担っています。 これらタンパク質の合成をリボソームが行っています。 ・核酸 DNAやRNAなどの遺伝情報の集まりを 核酸と呼びます。 DNAやRNAは私達の体を作る設計図としての役割をします。 そのため、DNAやRNAなどの遺伝情報である核酸が存在することによって、私達の体は正確に細胞分裂をすることができます。 細菌にも同じように核酸があり、この核酸に刻まれている設計図を読み取ることによって細胞分裂を行います。

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第一選択の抗菌薬をマスターする!【臨床で問題となる細菌の種類も合わせて解説】|KusuriPro

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風邪の症状は「のど・はな・せき」です。 皆さんがいつもの風邪をひくとこれらの症状が少しずつ時間差で出てくると思います。 こういうのはすべて「ふつうの風邪」です。 ウイルスによるもので抗菌薬は効きません。 すぐに治す特効薬はないのです。 肺炎を予防するという理屈で抗菌薬が多く処方されてきました。 しかしその効果はかなり小さく、副作用や耐性菌のリスクの方がずっと大きいため、そのような処方は今では勧められません。 せきがとても強い場合は気管支炎と診断されることがあります。 最近流行している百日咳なら抗菌薬を使うことがあります。 ただ、ほとんどはウイルスによるものとわかってきたので、多くの場合抗菌薬は不要です。 また、気管支炎を「風邪」と説明してきた医師がいるかと思います。 しかし今では気管支炎はふつうの風邪とは分けて考えるようになってきました。 そして百日咳など一部を除いて抗菌薬は不要とされています。 ふつうの風邪のあとに起きることもあります。 ウイルス性が多いですが細菌性のこともあります。 細菌性でも軽症なら抗菌薬は不要です。 早く治るわけではなく、副作用の悪影響がむしろ大きいからです。 中等症・重症で抗菌薬を検討します。 一部にA群溶連菌という細菌が原因となっている場合があり、抗菌薬治療が必要です。 症状や迅速検査でA群溶連菌によるものを絞りこんで抗菌薬を使うか決めます。 その他は基本的に抗菌薬不要です。 これらは風邪に引き続くこともありますが、基本的に違う病気です。 それを見分けていくのが医師の仕事です。 かつてはそれが妥当と考えられた時代があったようです。 しかし様々なデータが蓄積されて考え方が変わりました。 現在は過渡期です。 耐性菌問題が大きいのでできるだけ早く処方内容が変わっていく必要があります。 高齢者や重い病気をもっている方は話が変わることがあります。 とはいえ、基本的な考え方は同じです。 薬剤耐性は大きな問題になっています。 いがみ合っている時間はありません。 ただし、抗菌薬にも種類がありますので闇雲に使用するのも危険ですし、症状自体が改善する訳ではありません。 既に生成されてしまった毒素の中和には別途対応した抗体医薬品が必要となります。

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